株式会社ジェイ・スペース
取材:2020年6月
過去のやり方を否定せず、過去の実績の上に新しい考え方を上書きする
1. 加盟に至った経緯は?
私はもともと独立願望が強く、30歳になる前から将来は独り立ちすることを念頭に仕事をしてきました。高校を卒業した後、商社と通信機器関係のメーカーで営業を経験し、その後、小さな広告代理店に入りました。「メーカーとして独立することは難しい、ならば、組織や会社看板に頼らず営業できる力をつけたい」それがその当時考えていたこと。
そして36歳の時、福岡で分譲マンションの広告を手がける広告代理店を設立し、念願の独立の夢を叶えました。最初は一人で始めましたが、少しずつ成長し、業界に特化していることもあってそれなりのシェアを取れるようになっていきました。社員も増え、私自身が表に出て動き回ることも少しずつ減っていきました。安定を手に入れたような気がした一方で、しかし、これから先のことを考えた時、特化しているが故の頭打ちがきっと来るだろう、そんなことを考えていました。
50歳を前に、「今まで色々チャレンジしてきたけど、残りの人生もう一つ何かに打ち込みたい」という思いが膨らみ、その過程でM&Aの会社から紹介されたのが、株式会社ジェイ・スペースでした。異なるエリア、未経験の業種、何よりすでに社員がいて一番後から入っていくのが自分であるという環境で、いうまでもなく難しい決断となりましたが、理屈ではなく、やりたい気持ちが勝ったために建設会社を経営する立場となりました。それが2017年の12月のことでした。
2. ユーミーマンションFCを選んだ理由は?
もともと、2003年からユーミーマンションFCとして活動していた当社の経営を私が承継した形ですから、選んだわけではありません。しかしながら、ユーミーマンションの理念に関しては、とても共感しています。私は時代の流れを越えて、普遍的に通用する理念に価値を感じます。FC本部に関しては常日頃からお世話になっており、営業面、技術面、また情報提供の観点でも大変心強く、感謝しています。当たり前のように思いがちですが、何かあった時に気軽に問い合わせできる環境やネットワークがあることは有り難いものです。また、同じ事業を行っているという仲間意識も魅力の一つだと考えています。
3. 加盟後に苦労したことは?
私の場合、加盟後というより買収後となりますが、代表者交代という意味で全ての出会いが「初めまして」になりました。社員からすれば自分で選択した状況ではありませんし、突然新しい社長が来たわけですから不安は大きかったと思います。中には、私が訪問する当日に社長交代を聞いたという社員もいたと、後になって聞きました。今だから言えますが、みんな、決してウエルカムな顔ではありませんでした(笑)。
ですから、とにかくたくさん会話をしました。「ああ、この人はこういう性格で、こういう考え方するんだなあ、であれば、こういうふうにしてあげたほうがいいんだな」というふうに、1人ずつと多くのコミュニケーションの場を持つことで理解を深めました。同時に、自分がこれからどんな風な会社を作っていきたいのかを伝えていきました。とりわけ幹部とは、何度も何度も対話を重ねました。みんなの気持ちや向いている方向が一つになってきたなあと思えるようになったのは2018年の春くらい。ですから、5ヶ月くらいはかかったかな。
福岡での事業を継続しているため、大分に行くのは、木曜日と金曜日。大分にいる間は、徹底してコミュニケーションを取り続けました。とはいえ、私自身、自然とどう楽しむかに意識を変えてしまうタイプなので、苦労と感じる事は少なかったと思います。今、社員がみな、前向きに頑張ってくれている事に心から感謝しています。やはり事業は、一にも二にも、人!人!人!人!人!ですね(笑)。
最近のトピックスとして、社員みんなで社是・社訓・経営理念を新たに作り直すことをし、ようやくできたところです。通常、そういったものは創業者が社員に対して示し共有するものですが、当社には創業者がいないため、みんなで新たに作るのも良いかなと思い至りました。社長の押し付けで社員には『7つの習慣』(スティーブン.R.コヴィー著)を読んでもらい、そこから考え方のヒントやワードを出してもらいました。その上で何度かミーティングを重ね、作っていきました。出来上がった社是・社訓・経営理念は、みんなで作ったアイデンティティだと自負しております。そんな形で当社は今まさに土台作りをしているところです。
4. 加盟して良かったことは?
週の半分は福岡市で残りの半分は大分市で仕事するのが今の日常です。毎週車で往復300キロ以上を移動しているわけですが、それが苦にならないほどユーミーマンション事業に打ち込んでいる現在の状況に満足しています。売上や利益などで結果が出ている事もありますが、それ以上に社員が一丸となって取り組み、一人一人が会社を築く気持ちでやっているのが伝わってくることが嬉しいです。本当に良かったと実感します。
途中から社長として、この事業を見ていますので、先入観なく発想できると同時に、疑問もわきます。私がきたときは1台しかなかったパソコンはすぐに全員に支給しました。またオリジナルの基幹システムも作って導入しました。それにより、賃貸管理部が対応している細かな仕事の中身を誰もが見られるようになり、同時に建築部の実行予算に対する進捗状況も見える化できました。システム上で各部門の仕事がガラス張りになったことで相互理解が生まれ、仕事の効率は格段に上がったと思います。朝礼の雰囲気もグッと良くなり、風通しはかなりよくなりました。
それまでしていなかった不動産会社訪問を取り入れたり、コロナの影響がある今はオーナー訪問がしにくいので、ビニール袋にマンション実績表に事務員が書いた手紙を添えて、投函して回ったりしました。そういった訪問時に役立つツールはどんどん作っています。その結果、これまでとりこぼしていた案件なども集まってくるようになっています。決して過去のやり方を否定するのではなく、過去の実績の上に新しい情報収集の仕方や営業先の見直し、組織の活かし方などを日々付け加えているところです。
5. 今後の展開・目標は?
わかりやすい目標にするとすれば、大分県下、RC賃貸No.1企業を目指します!当社はユーミーマンション以外の建設がありません。ですからエネルギーや行動・思考・資本がユーミーに集中できます。逆に言うとユーミーマンションを建てなければ売上もありません。選択と集中は資本の少ない中小企業の一つの戦略といえるでしょう。2017年の12月に着任し、6月決算まで残り半年という時点で、当時の受注はゼロでした。けれど半年で5棟を受注し、それから2年半たった今、当時5億円だった売り上げは、今期10億5,000万円になりました。来期は、12億数千万を見込んでいます。固定費がそれほど変わらず、人数も増えていない中で売り上げが上がったことにより利益率はかなり良くなりました。
成長を感じるためには規模拡大も必要ですが、同時に質も重要です。「勝ってかぶとの緒を締めよ」という言葉通り、社員のスキルや現場の質が上がらなければ、短い打ち上げ花火で終わってしまいます。前述の『7つの習慣』に「第二領域」という学びが出てきます。仕事に打ち込んでいると、つい後回しにしがちな「緊急ではないが重要なこと」が第二領域です。弊社で言うならば、それは現場監督の育成。今の人数では1年間に建てられるユーミーマンションの上限が決まってしまいます。年齢的にも引退を控えた方もいます。
そんな中で、時間をかけてでも育てることをしていかねればなりません。これまでの2年ぐらいは、自分自身がそれどころではなかったということもありますが、しょっちゅう「第二領域」という言葉を使うことで、それが社員にも共通言語となり、次世代の育成が共通課題、共通認識になってきているのを感じます。「7つの習慣」では、タイムマネジメントの鉄則は「第二領域への注力」と書いていますが、第二領域のための時間を意識的に生み出すことは簡単ではありません。道のりは長いですが、力を合わせて目標を達成したいと思います。
会社情報
株式会社ジェイ・スペース
代表取締役 橋住柾風 様
本社所在地 | 大分県大分市 |
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営業拠点 | 大分県大分市 |
加盟年・エリア | 2003年・大分県 |